
生産管理システムの資料をいくつも取り寄せて、「機能一覧はどれも似ているのに、何が違うのかよく分からない」と感じていませんか?
比べるときに大切なのは、機能の数だけではありません。そのシステムが、何を中心に据えて作られているかを見ると、違いがぐっと分かりやすくなります。
私は、町工場を経営していた経験と、これまで製造業の方々とお話ししてきた経験から、生産管理システムを「生産計画型」「分析型」「工程進捗型」という3つの見方で整理しています。自社の現場が今どこで困っているかを照らし合わせながら、選ぶための物差しとして使ってみてください。
生産管理システムは「中心にある問い」で3タイプに分かれる
生産管理システムは、そのシステムが一番答えようとしている問いによって、次の3タイプに分けて考えられます。
| 生産計画型 | 分析型 | 工程進捗型 | |
|---|---|---|---|
| 中心にある問い | いつ・何を・どれだけ作るか | 結果どうだったか、何が問題だったか | 今、どこまで進んでいるか |
| 代表的な機能 | 生産スケジューラー、所要量計算、負荷の山積み | 原価計算、実績集計、予実分析、帳票 | 注残一覧、工程進捗、現場からの着手・完了登録 |
| 主に使う人 | 生産管理・計画の担当者 | 経営者・管理部門 | 現場・事務・営業・経営者の全員 |
| うまく回る前提 | マスターが整備され、計画通りに流れる | 正確な実績データが入力される | 現場が手間なく入力できる |
| 向きやすい現場 | 繰り返し生産・見込み生産 | 管理部門がしっかりある会社 | 多品種小ロット・特急や変更が多い現場 |
※これは業界で定められた公式の分類ではなく、現場とシステム選定の両方を経験してきた中で使っている見方です。実際の製品は複数の要素を併せ持っており、ここで見ているのは「重心がどこにあるか」という傾向です。
「業種別」「個別受注か見込み生産か」「オンプレミスかクラウドか」といった分け方ももちろん大切です。ただ、その条件だけで選ぶと、「条件は合っているのに、なぜか現場で使われない」ということが起きます。システムの重心と、自社の現場がいちばん困っていることがずれている場合があるからです。
生産計画型とは:計画を立てて、その通りに動かす
生産計画型は、「いかに精度の高い計画を立てるか」に重きを置いたシステムです。生産スケジューラーで工程を自動で割り付けたり、段取り替えが少なくなる順番を組んだりするのが得意です。
同じものを繰り返し作る工場や、計画通りに物が流れる現場では、とても力を発揮します。
ただ、多品種小ロットの町工場ではどうでしょうか。材料が届かない、機械が止まる、急ぎの仕事が割り込んでくる、前工程が遅れる。私が工場を経営していた頃も、計画どおりに進む日の方が少ないと感じていました。
計画型のシステムでも、現実に合わせて計画を更新できれば価値があります。一方で、組み直しの手間が大きいと、だんだん計画が更新されなくなり、「システムの計画」と「現場の実態」が別物になってしまうことがあります。結果として、ホワイトボードやExcelが並行して動き続ける。こうした悩みは、決して珍しくありません。
ガントチャートは「自由」じゃなかったでも、計画を現場で使い続けるための考え方を詳しくお伝えしています。
分析型とは:実績を集めて、数字で振り返る
分析型は、「起きた結果をどう把握し、経営判断に生かすか」に重きを置いたシステムです。原価計算や工数の集計、予算と実績の比較など、経営者や管理部門が数字を見るための機能が充実しています。
経営の数字が見えることには大きな価値があります。私も、その重要性には強く共感しています。
ただし、分析型には一つ前提があります。現場から正確な実績データが入ってくることです。入力が面倒だったり、決まった手順を守らないと先に進めなかったりすると、現場はだんだん入力しなくなります。すると集まるデータが不正確になり、分析しても「この数字は本当に合っているのか」となってしまいます。
分析の価値を生かすためにも、入力が現場に無理なく定着する仕組みが土台になります。
工程進捗型とは:「今どうなっているか」を現場から見える化する
工程進捗型は、「今、どの案件がどこまで進んでいるか」を、誰でもすぐに分かるようにすることに重きを置いたシステムです。いわば、現場の見える化が中心にあります。
町工場の一日を思い浮かべてみてください。
- お客様から「あの件、どうなっていますか?」と電話が来るたびに、現場へ探しに行く
- 担当者が休みの日に限って、急ぎの案件の状況が誰にも分からない
- 外注に出したものが戻ってきたかどうか、電話で確認している
こうした「探す・聞く・確認する」の時間は、毎日少しずつ発生します。工程進捗型は、まさにここに真正面から向き合うタイプです。
エムネットくらうどは、現場の見える化を中心に据えた工程進捗型の生産管理システムです。案件ごとの進み具合を共有し、現場・事務・営業・経営者が同じ情報を見ながら、次に何を優先するかを判断できるように設計しています。
なぜ工程進捗型にこだわったのか:「順番を逆に」考えた
一般的な生産管理の考え方は、次のような順番です。
- 精度の高い計画を立てる
- 計画どおりに現場を動かす
- 結果を分析する
けれど、イレギュラーが多い現場では、最初の計画がすぐに崩れます。崩れた計画の上には、その後の管理も積み上がりにくくなります。
そこで私は、順番を逆にして考えました。
- まず、現場の「今」が見えるようにする
- イレギュラーに柔軟に対応しながら、モノを前に進める
- 進めるうちに、着手・完了の実績が自然と貯まっていく
- その実績をもとに、計画の精度を上げていく
これは、計画や分析を否定する考え方ではありません。見える化が土台にあってこそ、計画も分析も生きてくる。自分の工場で痛感したことです。
だからエムネットくらうどでは、マスター登録なしでも使い始められるようにし、順番を飛ばしても現場の作業が止まらない設計にしています。工程の追加や変更も、そのときの状況を見ながら進められます。工程や担当者を決めるのはあくまで人で、システムは人が判断するための情報を出すことに徹する。この順番を大切にしています。
機能紹介やエムネットくらうどと他社との違いでも、詳しい考え方をご覧いただけます。
工程進捗型でも、計画は立てられる
ここは誤解されやすいところなので、はっきりお伝えします。工程進捗型だからといって、計画が立てられないわけではありません。むしろ、進捗を見ながら工程計画を立てることはとても大切です。
エムネットくらうどにはガントチャート機能もあり、工程の進捗を確認しながら、現実に合わせて計画を組み直せます。進捗型の計画で大切なのは、「今どうなっているか」を見ながら、人が判断して動かせることです。
まずは案件一覧・工程一覧・納期カレンダーで現場の状況を見えるようにし、必要になったときに計画を深めていく。この順番で十分に管理が回る現場も多いと感じています。
実際の現場では、こんな変化が起きています
工程進捗の見える化が土台になると、計画づくりや納期判断にも変化が出てきます。
- 株式会社日清精工様(金型製作・部品加工):毎日の昼礼で画面を見ながら進捗を確認するようになり、各機械の担当者が1週間の予定を自分で考えるようになったそうです。協力会社への依頼も、進捗を見て早めに判断しやすくなりました。
- 株式会社井上工作所様(治具部品製造):現場に行かなくても製品の所在が分かるようになり、毎週の納期ミーティングが半日程度から1時間程度に短くなったとうかがっています。受注時は最初の工程だけを登録し、その後は現場で必要な工程を追加する運用です。
- 有限会社高柳エンジニアリング様(小ロット機械加工):以前は工場へ出向かなければ納期を確認しにくかったところ、事務員の方も素早く納期回答できるようになったとお聞きしています。
ほかの取り組みは、導入事例一覧にまとめています。
自社に合うタイプの見分け方
最後に、自社がどのタイプと相性がよいかを考えるためのチェックリストです。当てはまる項目が多い列が、今の現場に合うタイプの目安になります。
| 生産計画型が合いやすい | 分析型が合いやすい | 工程進捗型が合いやすい |
|---|---|---|
| 同じ製品の繰り返し生産が中心 | 管理部門に専任の担当者がいる | 多品種小ロット・一品物が中心 |
| 計画どおりに進む日が多い | 実績入力のルールが現場に定着している | 特急や仕様変更がしょっちゅう入る |
| マスター整備に人と時間をかけられる | 今いちばん欲しいのは原価・損益の数字 | 「あの件どうなっている?」の確認に追われている |
| 計画担当者を置いている | すでに現場の状況は把握できている | Excelやホワイトボードの管理に限界を感じている |
おすすめしたいのは、「今、何に一番困っているか」から逆算することです。計画が立てられなくて困っているのか、数字が見えなくて困っているのか、それとも現場の状況が分からなくて困っているのか。この問いに答えるだけで、検討すべきシステムはかなり絞り込めるはずです。
工程管理は「見える化」から始めましょうもあわせて読んでいただくと、工程進捗型の考え方がさらに具体的になります。
まとめ
- 生産管理システムは、中心にある問いによって「生産計画型」「分析型」「工程進捗型」の3タイプに分けて考えると違いが分かりやすい
- 計画型は計画どおりに流れる現場で、分析型は正確な実績が集まる会社で力を発揮する
- 多品種小ロットでイレギュラーが多い町工場では、まず「今」を見える化する工程進捗型が土台になりやすい
- 進捗型でも計画は立てられる。進捗を見ながら人が計画を組み直せることが強みになる
よくある質問
生産計画型・分析型・工程進捗型のうち、どれが一番優れていますか?
優劣ではなく、現場との相性の問題です。繰り返し生産で計画どおりに流れる工場なら計画型、管理部門がしっかりしていて実績入力が定着している会社なら分析型が力を発揮します。多品種小ロットで特急や変更が多い現場では、まず工程進捗型で「今」を見えるようにするのが近道になりやすいと考えています。
工程進捗型のシステムでは、生産計画は立てられないのですか?
立てられます。エムネットくらうどにはガントチャート機能があり、進捗を確認しながら工程計画を組み直せます。現実に合わせて人が計画を見直しやすいことが特長です。
工程進捗型でも、原価や実績の分析はできますか?
日々のバーコード登録や日報収集で、着手・完了などの実績が自然と貯まっていきます。そのデータをCSVで出力すれば、納期達成率や工程別の実績などを集計できます。「見える化を続けた結果として、分析に使えるデータが貯まる」という順番です。
すでに基幹システムや計画系のシステムを使っています。併用はできますか?
基幹システムでは現場の細かな動きまで追いにくい会社が、現場の見える化を担う部門システムとしてエムネットくらうどを使われるケースがあります。CSVでのデータ入出力やAPI連携にも対応しています。具体的な連携方法は、現在のシステム構成をお聞きしたうえでご相談ください。
自社がどのタイプに合うのか、判断がつきません。
それが一番自然な状態です。多くの現場は、計画・分析・進捗のどれも少しずつ必要としているからです。無料デモやご相談の場で、今お困りのことをお聞きしながら一緒に整理しますので、お気軽にお声がけください。そのほかの疑問はよくある質問にもまとめています。
「うちの現場はどのタイプだろう?」と思ったら
生産管理システム選びで一番もったいないのは、機能の多さで選んで、現場で使われずに終わってしまうことです。私自身、町工場の経営者として同じ迷いを経験してきたので、その悔しさはよく分かります。
エムネットくらうどは、現場の「今」を見えるようにするところから始める、工程進捗型の生産管理システムです。実際の画面をご覧いただくと、「計画型」「分析型」との違いを具体的にイメージしていただけます。
まずは無料デモで、実際の画面を見てみてください。同じ製造業として、現場の言葉でお答えします。
角野 嘉一