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工程管理は『見える化』から始めましょう|20年の現場経験から学んだ最初の一歩
「工程管理をしっかりやらないと」。
こうした言葉が交わされていても、具体的に何をどうすればいいのかピンとこないのが本音ではないでしょうか。「進捗管理」「納期管理」「工程管理」...…似たような言葉が多すぎて、混乱してしまうこともあるかもしれません。
私も20年前、父親の工場に入社したとき、同じように悩みました。当時は、工程管理の見える化が進んでおらず、毎日確認の電話ばかり。問い合わせ対応に20〜30分の時間を費やすこともざらにありました。
この記事では、そんな経験を経て工程管理を進めてきた当社が、現場で必要な工程管理の考え方と、明日から始められる工程管理のやり方をご紹介します。
1. そもそも工程管理とは何か?
工程管理とは、製品が完成するまでの各工程を「計画→実行→確認」するサイクルです。
「どの製品が、今どの工程にあって、いつ完成するか」を、みんなが分かるように把握します。
よく混同される3つの言葉を整理しましょう。
| 用 語 | 何を管理するか |
| 納期管理 | お客様への納品日はいつか |
| 進捗管理 | 仕事がどこまで進んだか |
| 工程管理 | 各工程のスケジュールと実績 |
つまり、工程管理ができていれば、納期も進捗も把握できます。
工程管理は納期管理と進捗管理の土台になるのです。
よくある生産管理システムを使う現場では、データを分析・集計をするためだけに工程登録を後から入力しているケースもみられます。しかし本来の目的は、次章で紹介するような困りごとを解決することです。
2. 工程が見えていないと、こんなことで困ります
工程管理ができていなかったときは、次のような困りごとが頻発していました。みなさんにも、こんな経験はありませんか?
四六時中、問い合わせ対応で困る
問い合わせ対応にかかる数十分の時間も、チリも積もれば山となります。
「昨日お願いした製品、今どうなっていますか?」
「設計変更を入れたいんだけど、止められる?」
お客様からの問い合わせに対し、すぐに答えられず「現場を見て折り返します!」と受話器を置いて現場へ走る……。
確認して、折り返しの電話をする。
こうした対応は、1ヶ月単位で見ると多くの時間を費やしているだけでなく、お客様への対応遅れにもつながります。
飛び込みの仕事で手いっぱいになってしまう
工程が見える化できていないと、飛び込みの仕事で現場が混乱してしまうケースもあります。
「急ぎで作ってもらえませんか?」というような急な仕事の依頼でも、今までのお付き合いから仕事を断らない企業さんは多いのではないでしょうか。
どの機械が空いているか、誰の手が空いているか分からない状態で仕事をむりやり押し込んでしまえば、現場はぐちゃぐちゃになりかねません。対応可能な納期を判断できる基準が必要です。
納期遅れに気づくのが遅い
工程が見えていないと、納期遅れに気づくのも遅くなります。
「あれ、この製品、納期に間に合わない...」と、気づいたときには、すでに手遅れです。
残業で何とかするか、お客様に謝罪するしかありません。
外注先に確認の電話ばかりかける
工程が見える化できていない影響で、外注先への確認電話が日課になっているケースもあるでしょう。「あの件、今どこまで進んでますか?」と、電話するたびに作業を止めさせてしまい、かえって納期が遅れる原因になります。
社内の進捗を把握することで、優先順位が判断できるようになれば、こうした問い合わせも減らせます。
外注先に発注していた、発注自体を忘れる
工程の一部である「外注管理」をできていない状態も困りごとを招きがちです。
「外注先に発注したか・していないか」を忘れてしまうことってありますよね。二重に製造してしまったり、慌てて社内で対応することになったりといった混乱が生じます。
多品種少量生産や飛び込みの仕事が多い工場ほど、工程の管理が難しくなり、これらの困りごとが発生しやすくなります。つまり言い換えれば、工程が見えているかどうかで対応力が変わってくるのです。
3.工程管理の始め方とメリット
工程管理を始める最大のメリットは、「見える化」です。都度、現場に状況を確認することなく、全体を把握できるので、事務所の管理が楽になります。
一般的な工程管理の前準備は、次のような手順で進めます。
- 工程のフローを図にする
- 詰まりやすい工程を把握する
- 工程ごとに必要な日数を把握
例えば、「材料受入 → 切削 → 研削 → 検査 → 出荷」といった具合に、まず工程のフローを整理。そして、どの工程が詰まりやすいのかを現場に聞き、ボトルネックを把握します。それを踏まえつつ、工程ごとにかかる日数(「大体1日」など)から逆算して、全体の作業予定を掴みながら、進捗を登録していくのが一般的です。
しかし、現場からすれば監視されているような、ロボットのように効率的に働けといわれているような……そんな反発もあるかもしれません。特にシステムを活用した工程管理では、人間が行う作業を機械的に管理する運用になりがちです。
実際の現場はどうでしょう。情報の共有さえできていれば、人間は思っている以上の力を発揮することもあります。前後の状況が見えないから齟齬(そご)が起きやすくなるだけです。
ですから、必ずしも機械的に厳密な予定管理を行う必要はありません。
あくまで、人間の作業をアシストできるメリットを享受するために、見える化を進めてみてください。
4. 明日から始められる工程管理【3つの実践方法】
準備ができたら、小さく始めてみましょう。完璧を目指す必要はありません。
方法1:ホワイトボードで「製品の居場所」を見える化する
一番シンプルな方法が、ホワイトボードの活用です。やり方は2パターンあります。
パターン1:進捗を追う「案件軸」
- ホワイトボードの縦軸に案件名、横軸に工程を固定する
- 完了した工程にチェックを入れる
- 進捗が可視化され、遅れなどを感知できる
パターン2:負荷を追う「工程軸」
- 横軸に見出しとして工程のみを固定する
- その下のスペースに製品名を書いたマグネットシートを積み上げる
- 機械や現場の詰まり具合が可視化される
方法2:エクセルで進捗一覧を作る
エクセルで進捗一覧を作ると、納期順に並べ替えたり、遅れている製品を抽出できたりします。
ホワイトボード管理の要領で、エクセル上に工程表を作成します。「案件軸」で作成する場合、完了した工程には緑色、遅れている工程には赤色を塗るなどと決めて、パッと見て状況がわかる工夫をしましょう。
方法3:一部の製品だけから始める
全製品をいきなり管理しようとすると大変です。次のような製品から、管理を始めましょう。
- 納期が1週間以内の急ぎの製品だけ
- 売上の大きいお客様の製品だけ
- 工程数が多くて管理が難しい製品だけ
慣れてきたら、少しずつ範囲を広げていきます。
工程管理で1番大事なのは、続けることです。工程管理を続けるには、仕組み化が欠かせません。
- 朝礼で進捗確認の時間を作る
- 各工程の責任者が完了したら報告するルールにする
- 現場で簡単に入力できる方法を選ぶ
上記のようにルールを定め、まずは進捗を掴むところから始めれば、その次のステップとして計画を立てられるようになるでしょう。
5. 手作業の限界を感じたら、システムの出番です
ホワイトボードやエクセルで頑張っていても、いずれ「無理だな」と感じる時が来ます。それはみなさんの努力不足ではなく、アナログという道具そのものの限界なんです。
現場でよくあるのは工場長やベテランの頭の中だけで工程が回っている状態です。 周囲としては聞きにいく手間がかかり、本人がいないと仕事が止まってしまいます。ホワイトボードも、その場所まで見に行く手間や書き換える手間が発生しますよね。エクセルでは、データの鮮度が古く、リアルタイムの状況が見えません。
こうした「見にいく」「更新する」時間が、本来の仕事を奪っているんです。システムを入れると、これらが解消され「頭で覚えなくていい」という解放感も生まれます。その分、職人として腕を振るうことに集中できます。
システムを選ぶコツは、「画面を見て直感的に好きと思えるか」。毎日触るものだから、理屈抜きの分かりやすさを大事にしてください。「高齢だから無理」なんてこともありません。とある徳島のビジネスでは、70〜80代のおばあちゃんがパソコンを使いこなし、需要予測までして事業を伸ばし、最終的には家まで建てたという話もあるんですよ。
結局は「慣れ」です。だからこそ、まずはやってみることから始めてみてほしいと思っています。外注先も含めて管理できる機能や導入後のサポートもあると、安心ですね。
6. エムネットくらうどなら、現場で使える工程管理ができます
生産管理システム「エムネットくらうど」は、製造業を営んできた当社が開発したクラウドサービスです。工程・進捗管理機能も備えており、特定の工程や作業者から小さく始めることができます。
エムネットくらうどの工程進捗管理機能の特徴は次のとおりです。
- タブレット・スマホで簡単に進捗入力(「完了」ボタンを押すだけ)
- 進捗状況が色分けで一目で分かる
- 外注先もシステムに参加できる
- 事務所にいながら工場全体が見える
- バーコードでピッとするだけ
現場の方が無理なく使えるシンプルな機能と操作性、柔軟性の高さを強みとし、1商品、1工程、1作業者単位からシステム化をスタートできます。無料デモも行っていますので、お気軽にご相談ください。
図面管理でお悩みなら、まずはご相談ください
エムネットくらうどは、生産管理とOCR検索がシームレスに連携されたシステムです。
月額5万円から利用可能。
詳しいことが知りたい方はお気軽にお問い合わせください。
【まとめ】工程管理は、小さく始めて続けることが大切
工程管理の見える化を始めるのに、難しいことは何もありません。
今日からできること
- 紙に工程の流れを書いてみる
- ホワイトボードで製品の居場所を見える化する
- 一部の製品だけ、あるいは信頼できる一人から工程管理を始めてみる
完璧を目指す必要はありません。小さく始めて、続けられる仕組みを作ることが大切です。アナログの限界を感じたとき、それが町工場がデジタル化へ進むタイミングかもしれません。工程管理でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。現場を知る者同士、一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者
角野 嘉一(かどの かいち)
日本ツクリダス株式会社 代表取締役 / エムネットくらうど プロダクト責任者
前職において父親の経営する鉄工所でデジタル化を推進し、業務効率化とネット集客の両面から改善を行うことで、売上高200%アップを達成。その経験を土台に、2013年に独立して日本ツクリダス株式会社を創業した。金属加工業務と並行して、町工場でも使いやすい納期・工程管理システム「エムネットくらうど」を開発し、2025年現在では約170社が利用するサービスへと成長させている。
製造現場での20年にわたる実務経験に加え、DX・生産管理の両面に精通した専門家として注目され、テレビ、雑誌、Webメディアなどからの取材も多数あり、製造業界専門誌への寄稿実績もある。デジタル化の取り組みが評価され、2021年 全国中小企業クラウド実践大賞 近畿大会「近畿総合通信局長賞」、2024年 経済産業省「DXセレクション」優良事例企業に選出された。
著書『マンガでわかるやさしいDX デジタルとアナログを融合し、仕事の効率化を目指す本』では、現場で培った改善ノウハウを体系化。本記事でも、自身の経験と知見をもとに、町工場の現場で本当に役立つ生産管理とDXのポイントをわかりやすく解説している。