01
生産管理の当たり前や常識を考える
生産管理システムは「システムに任せることで現場がうまく回る」という前提が置かれてきました。
「システムが賢くなれば、
現場はうまく回る。」
この前提のもとで、自動スケジューラー、最適化エンジン、AIによる需要予測、機械学習による不良予知——。各社がその方向で技術を磨き、機能を増やし、システムをより「賢く」することに投資してきました。
それは間違いではありません。技術の進歩は、確かに現場の一部を改善してきました。
ただ、ひとつ問いたいことがあります。
あなたの工場では、今日も現場の人間が「あの情報、どこにあるんだっけ」と言いながら仕事をしていませんか?
システムが賢くなっているのに、現場の情報共有はまだ口頭とホワイトボードに頼っている。スケジューラーが最適な計画を立てているのに、今日の作業指示はイマイチ伝わっていない。AIが需要を予測しているのに、「何がどこにあるか」は現場を探し回っている。
02
「DX」という言葉が、
現場を混乱させた。
2018年、経済産業省が「DXレポート」を発表して以来、製造業でも「DX」という言葉が急速に広まりました。IoT、AI、スマートファクトリー——。メディアはこぞって「製造業のDX」を特集し、展示会には最新技術が並びました。
しかし、多くの製造業の現場では、「DXをやれと言われたが、何をすればいいか分からない」という状況が続いています。
なぜでしょうか。
DXという言葉が、「高度な技術を導入すること」と誤解されているからです。AIを使う、IoTセンサーを付ける、スマートファクトリーにする——これらはすべて「手段」です。「目的」ではありません。
DXの本来の意味は、「デジタル技術によって、ビジネスモデルや業務プロセスを変革すること」です。技術を導入することではなく、技術によって「何かが変わること」が本質です。
では、製造業の現場で「変えるべきこと」は何でしょうか。
多くの製造業の現場で、変えるべきことの本質
「人が動くために必要な情報が、
今すぐ手に入らない」
という状況を、なくすこと。
AIでも、IoTでも、スマートファクトリーでもありません。「今日の仕事を前に進めるための情報が、必要なときに、必要な人に届く」という、ごく当たり前のことが、多くの製造現場でまだ実現できていない。これが、製造業のDXが思うように進まない本当の理由です。
03
製造業のDXが失敗する、
本当の理由。
製造業のDX推進が難航する理由として、よく挙げられるのは「現場の抵抗」「ITリテラシーの低さ」「予算不足」です。確かにそれらも要因ではあります。
しかし、私たちが100社以上の製造業と向き合ってきた経験から言えることは、もっと根本的な問題があるということです。
失敗の理由①
「使いこなせる人」を前提にシステムが設計されている
多くの生産管理システムは、「システムに詳しい人が、時間をかけてマスター登録をして、正しい使い方を覚えれば、効果が出る」という前提で設計されています。しかし製造現場には、旋盤を40年やってきた職人さんがいます。パソコンが苦手な現場担当者がいます。そういう人たちが使えないシステムは、どれだけ高機能でも、現場には根付きません。
失敗の理由②
「計画通りに進む」ことを前提にシステムが設計されている
自動スケジューラーや最適化エンジンは、「計画通りに進む」ことを前提にしています。しかし多品種少量生産の現場では、計画通りに進む日の方が少ない。材料が届かない、機械が止まる、急ぎの仕事が入る。そのたびに「計画を組み直す」作業が発生しますが、自動化を前提にしたシステムでは、この「組み直し」が難しい。結果として、システムと並行してExcelが走り続けます。
失敗の理由③
「システムの外」で情報が動き続けている
生産管理システムを入れても、現場の情報共有は外部のチャットツールで行われ、図面はメールで送られ、作業指示は口頭で伝えられる。システムの中に情報が集まらないため、「システムを見れば全部分かる」という状態にならない。結果として、システムは「入力する場所」になり、「情報を得る場所」にはならない。
これらの失敗は、リアルタイムな情報がシステムには存在しない。またはリアルタイムな情報を見る術がない。システムの賢さより先に解決すべきことがある。それが、私たちの出発点でした。
04
灯台の光は、遠くの船には届く。
でも、灯台のすぐ下は暗い。
「灯台下暗し」という言葉があります。灯台は遠くを照らすために作られているため、灯台のすぐ下は、かえって暗くなっています。身近なことほど、見えにくい。
生産管理システムの業界は、「遠く」を照らすことに注力してきました。AIによる需要予測、機械学習による不良予知、デジタルツインによる工場シミュレーション——。これらは確かに「遠く」を照らす技術です。
しかし、その光の下で、製造現場の「すぐそこ」にある問題は、ずっと暗いままでした。
「今日、誰が、何の機械で、何をやるか」
→ 朝礼で口頭伝達
「あの図面、どこにあるんだっけ」
→ フォルダの階層を潜る
「A案件の変更、現場に伝わってる?」
→ LINEで確認
「来週の納期、間に合いそう?」
→ 担当者に聞く
「先月の不良、何件だったっけ」
→ 紙の日報を遡る
「注文書の入力、誰がやってる?」
→ 毎朝の手入力
これらは、製造業の現場で毎日起きていることです。特別なことではありません。当たり前すぎて、誰も「問題だ」と思っていない。
でも、積み重ねると、どれだけの時間と労力が消えているでしょうか。そして、この「当たり前」の一つひとつを解消することが、製造業のDXの本質ではないでしょうか。
05
エムネットは、
逆の方向を向いています。
私たちは、元・製造業です。旋盤・フライス加工の多品種少量生産を行う金属加工会社を、11年間経営してきました。
その経験から言えることは、「現場で本当に困っていることは、高度な自動化ではない」ということです。
困っていたのは、もっとシンプルなことでした。「今日の仕事を前に進めるための情報が、必要なときに、必要な人に届かない」こと。
エムネットの設計思想
「システムが賢くなれば、現場はうまく回る」
生産管理システムの認識
「人が判断するために、必要な情報をすぐに届ける」
エムネットの前提
自動化は、手段です。目的ではありません。どれだけ自動化しても、最終的に現場を動かすのは「人の判断」です。その判断を支えるのが、情報です。
エムネットくらうどは、「情報が人に届く」ことを最優先に設計されています。マスター登録なしで今日から始められる。バーコードをスキャンするだけで工程が進む。チャットに添付するだけでファイルが整理される。ガントチャートはエラーを出さない。
難しいことは何もありません。現場の人間が、今日から使える。それだけを考えて作りました。
06
「そうそう、これが困ってたんだよ」
と思ってもらうために。
以下のコラムシリーズでは、製造業の現場で「当たり前」とされてきた手間や非効率を、一つひとつ取り上げます。
ガントチャートの「自由」、チャットと案件の関係、フォルダ管理の見えない残業、納期管理と工程管理の違い、AI時代のデータ蓄積——。どれも、当たり前すぎて誰も問題だと思っていなかったことです。
「そうそう、これが困ってたんだよ」と思ったとき、エムネットのことが少し分かるはずです。
