デジタルとアナログを融合させる思考法
「デジタル化を進めよう」と言うと、多くの人が「アナログをすべてデジタルに置き換えること」だと思いがちです。しかし著者・角野嘉一が実践から導き出した答えは、まったく逆でした。アナログには、デジタルには絶対に代替できない強みがある。その強みを活かしながら、デジタルを組み合わせる──これが失敗しないDXの本質です。
書籍「デジタルとアナログを融合し、仕事の効率化を目指す本」(著:角野嘉一 / 合同フォレスト)より要約・再構成
アナログの強みは「柔軟な対応ができること」「感性で仕事ができること」「変更に強いこと」です。紙の書類は手書きで修正でき、ペンで自由に書き込める。頭の中の考えをアウトプットするには、デジタルよりもアナログのほうが得意な場合が多いのです。また、試行錯誤が必要な仕事や、創造性の高い仕事は、アナログが向いています。
「アナログは柔軟な対応と感性で仕事ができる。デジタルが苦手な領域をアナログが補う。」
―― 書籍より
一方、デジタルの強みは「スピード」「正確さ」「共有のしやすさ」「検索性」です。同じ情報を複数人が同時に見られる、離れた場所からアクセスできる、大量のデータを瞬時に処理できる──これらはアナログには不可能なことです。繰り返し発生する定型業務や、情報の共有・蓄積が必要な業務は、デジタルが圧倒的に向いています。
著者が実践した方法は、業務を一つひとつ見直し、「この仕事はアナログが向いているか、デジタルが向いているか」を判断することです。いきなり全部デジタルに置き換えようとすると、現場が混乱し、失敗します。まずアナログのままでいい仕事はそのままにし、デジタルに置き換えることで明らかに効率が上がる仕事だけをデジタル化する。この「ちょうどいいデジタル化」が、中小製造業に最も適したアプローチです。
「「どうしたらうまくいくか」と考え、容易にデジタル化できるところとアナログのまま残したほうがいい仕事を見極める。」
―― 書籍より
著者の会社・日本ツクリダスでは、図面管理はDropboxでデジタル化しましたが、現場での作業指示は紙の帳票を活用し続けています。打ち合わせのメモはアナログで取り、後からデジタルで共有する。このハイブリッドな運用が、現場の混乱を最小限に抑えながらDXを進める秘訣です。デジタル化は手段であり、目的ではありません。「現場が楽になること」が目的です。
アナログには「柔軟性」「感性」「変更への強さ」という固有の強みがある
デジタルには「スピード」「正確さ」「共有性」という固有の強みがある
業務ごとに「どちらが向いているか」を判断し、ハイブリッドに運用する
「デジタル化100%」ではなく「ちょうどいいデジタル化」を目指す