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失敗しない!生産管理の現場で本当に使いやすいバーコードリーダーの選び方

「どんなバーコードリーダーを使えばいいですか?」

生産管理システム「エムネットくらうど」を導入する際、多くの企業様からいただくご質問のひとつです。
当社のエムネットくらうどは専用リーダーでないと動かないという仕様ではありません。お客様がすでにお持ちの端末をそのまま使っていただくことも可能です。

ただし、製造現場での実用性を考えると、選び方にはコツがあります。この記事では、170社以上の導入実績から学んだ「現場で本当に使いやすいバーコードリーダー」の選び方をご紹介します。



選び方1.読み取り可能なバーコードの種類

まず読み取りたいバーコードの種類を考慮して、バーコードリーダーを選ぶ必要があります。バーコードの種類は、大きく分けて2種類です。

  • 一次元バーコード:黒いバーと白いスペースを組み合わせた線状のバーコード
  • 二次元バーコード:QRコードを代表とする情報量を多く持たせられるタイプのバーコード

製造業では、英数字を効率よく表現できる一次元バーコードCODE128を使用するケースが多い傾向です。製造番号や品番の管理に使い勝手がよい特長があります。こうしたバーコード形式に合わせて、バーコードリーダを選定してみてください。

なお、エムネットくらうどは、以下のバーコード形式に対応しています。


一次元バーコード


  • JAN13(一般的な商品バーコード)
  • JAN8(小さな商品向けバーコード)
  • CODE128(工業用途に最適)

二次元バーコード

  • QRコード(商品情報、物流在庫管理等に最適)



選び方2.有線バーコードリーダー vs 無線バーコードリーダー

次に有線、もしくは無線のどちらにするかを選びましょう。

なぜ有線バーコードリーダーをおすすめするのか



私のおすすめは有線バーコードリーダーです。理由は3つあります。

1.確実な接続性

有線バーコードリーダーなら、USBに挿せば確実に認識して、その瞬間から使えます。余計な操作はいりません。接続トラブルが原因でシステムそのものを使わなくなってしまう。そんなリスクを回避できます。

2.データの確実性

製造現場では、1桁違うだけで大きな問題に発展します。無線バーコードリーダーだと「桁落ち」がまれに起こることがありますが、有線バーコードリーダーなら読み取った番号がそのまま確実にシステムへ入ります。データの確実性が高く、安心して使えるのが有線バーコードリーダーです。

3.設定不要の簡単さ

有線バーコードリーダーなら、スピード調整や細かい設定をしなくても、そのまま使えます。新人さんでもすぐに扱えるので教育コストもかかりません。誰が使っても、現場を止めずにスムーズな運用ができます。



無線バーコードリーダーの注意点



Bluetoothなどの無線バーコードリーダーは一見スマートに見えますが、実際の現場では思わぬ落とし穴が多いものです。

接続の不安定さ

スリープから復帰したときにつながらない、再接続に手間取る。こうしたことがあると現場はすぐに「使いにくい」と判断してしまいます。無線バーコードリーダーの接続における不安定さが原因で、せっかく導入したシステムを使わなくなるケースも珍しくありません。

特にiPadとの相性問題

iPadは高性能なぶん、リーダー側にも高い性能が求められます。読み取り速度の細かい調整が必要になる場合もあり、無線バーコードリーダーで設定機能がない機種や調整範囲が狭い機種では対応できない可能性もあります。

データ伝送の不安定さ

読み取り時の桁落ちや、電波干渉によるエラーが発生する可能性があります。さらにバッテリー切れで作業が止まってしまうことも。現場では「止まる=使わない」に直結するため、大きなリスクといえます。



選び方3.リーダー内蔵業務用スマホvsスマホカメラ


複数の端末をまとめたい場合は、スマホをバーコードリーダーとして使うのもひとつの手です。これまでは、スマホのカメラを使ってバーコードを読み取るケースもありましたが、最近では、バーコードリーダーが内蔵された業務用スマホも存在します。

このどちらかを選ぶとすれば、私のおすすめはリーダー内蔵業務用スマホです。従来のスマホカメラとリーダー内蔵業務用スマホの比較を以下にまとめました。



項目 スマホカメラ リーダー内蔵業務用スマホ
読み取り速度 ピント合わせで時間がかかる 一瞬で読み取り
操作性 カメラアプリ起動が必要 専用ボタンで即座に
精度 照明条件に左右される 安定した読み取り
作業効率 やや手間がかかる 作業効率向上
薄暗い場所 読み取り困難な場合あり 照明不要で確実
汚れた環境 レンズ汚れで読み取り不能 専用窓で汚れにくい


リーダー内蔵業務用スマホの導入メリット

では、リーダー内蔵業務用スマホの導入で、どんなメリットがあるのか見ていきましょう。

コスト面と使い勝手

スマホにリーダーが内蔵されていれば、1台に機能をまとめられるので、わざわざ別でバーコードリーダーを買う必要がありません。通話やメール、アプリもそのまま使えるので、端末の数が減って管理がぐっと楽に。もちろん、コストも抑えられます。

作業効率と精度

読み取りは「ピッ」と一瞬。ピント合わせで待たされることもなく、照明の明暗にほとんど左右されません。これだけでも現場のストレスはかなり減ります。

さらに便利なのが、バーコードを読んだ直後に写真を撮って、そのままチャットやメールで共有できることです。例えば、部品不良が見つかったとき、製造番号と写真をセットで送れば状況がすぐに伝わります。報告や相談のスピードが段違いに早くなるんです。

業務用の設計

こうした業務用スマホは、ただの市販スマホとは違います。現場での利用を前提に、防水・防塵はもちろん、落下の衝撃にも強いことが特長です。鉄粉や油が舞う工場の現場でも安心して使えるよう設計されています。

スマホカメラの注意点

一方で、通常のスマホカメラを使う場合は注意が必要です。ピント合わせに時間がかかる、暗い場所では読み取れない、といった読み取りづらさがあります。

さらに、レンズが少し汚れるだけで認識しなくなるので、現場では「時間がかかり、ストレス」との声も聞きます。



エムネットくらうどが推奨するバーコードリーダーの選び方



ここまでさまざまなバーコードリーダーの種類を紹介してきたように、現場で本当に使いやすいかどうかは、カタログのスペック表では見えてこない部分が多いといえます。

ここでは、製造現場を担ってきた当社の導入実績から見えた「バーコードリーダー選びに失敗しないための4つの基準」を現実的な視点でご紹介します。

1. コストパフォーマンス

バーコードリーダーは高機能・高価格でなくても十分に役立ちます。そのため、当社では4,000円程度の汎用品を推奨しています。現場では落として壊すこともあり得ますからね。「消耗品」と考えて、交換しやすい価格帯を選ぶのが合理的です。

「安いから故障しやすいかも?」と不安になることもあるかもしれませんが、実績として故障はほとんどありません。シンプルな構造で壊れにくく、現場での実用性を重視した選定です。

一方で2,000円以下の極端に安いバーコードリーダーは、有線タイプでも動作が不安定な場合があります。Bluetoothタイプは、さらに機種による安定性の差が大きくなります。安価すぎず、高価すぎない製品がおすすめです。



2. メンテナンス性

現場で大事なのは、手入れが簡単かどうかです。油や粉じんが付いても拭き取れること、防塵防滴で安心できること、ケーブルが切れにくいこと。

このあたりがしっかりしていれば、毎日ストレスなく使えます。



3. 適切な読み取り範囲

工場での利用は、図面や部品を手に取って10〜30cm程度の距離で読むケースが大半です。ロングレンジ(数m)は不要で、ニアレンジ(数cm〜30cm)やミドルレンジ(30cm〜1m)の読み取り距離で十分です。

製造現場での実際の使用シーン

  • 図面に貼ったバーコードを10〜30cm程度の距離で読み取り
  • 部品や治具に貼ったバーコードを手に取って読み取り
  • 作業台に置いた指示書のバーコードを読み取り
  • 倉庫での在庫確認(棚から取り出して読み取り)

これらの用途では、ロングレンジ機能は全く必要なく、むしろ誤読のリスクが高まります。現場に合った「ちょうどいい距離」で確実に読めることが重要です。



4.デモ機貸し出し期間の活用

高額なバーコードリーダーやリーダー内蔵業務用スマホは、デモ機の貸し出しを行っているメーカーや販売店もあります。ぜひ、現場で実際に動かしてみて「読み取り速度」「読み取り精度」「OSや端末との相性」などを確認してから導入を決めてみてください。

2週間程度、現場環境でテストできるので、最終決定の参考に活用しましょう。



よくある質問(FAQ)


今使っているバーコードリーダーがエムネットくらうどで使えるか確認したい

無料テスト期間をご利用ください。お客様の環境で実際に動作確認していただけます。最大1ヶ月のテスト期間で十分に検証可能です。


無線リーダーはどうしても使えませんか?

使用可能ですが、現場での安定性を考慮すると有線をおすすめします。無線をお使いの場合は、事前の動作確認を必ず行い、読み取り速度の設定調整が必要な場合があります。


QRコードと通常のバーコード、どちらがおすすめ?

情報量を多く含めたい場合(製造番号+工程情報など)はQRコード、シンプルな管理(製造番号のみなど)ならCODE128がおすすめです。エムネットではバーコードの規格が何であるのか?などは気にする必要はありません。システムであらかじめ設定されているので何も考えることなく安心して利用できます。


バーコードリーダーが故障した場合のサポートは?

日本ツクリダスからご購入頂いている場合は、弊社にご連絡を頂ければ対応可能です。


複数台のリーダーを1台のPCで使えますか?

そもそも複数台のリーダーを1台のPC内で利用する事は少ないと思いますが、接続することができれば複数のリーダーを利用することは可能です。


工場の汚れた環境でも使えますか?

はい、ご利用いただけます。その中でも読み取り面が簡単に拭き取れる構造のリーダーがおすすめです。切削油や金属粉塵が付着しても、清拭で簡単にメンテナンスできます。


価格はどのくらいですか?

日本ツクリダスからは4,000円から有線バーコードリーダーをご提供しています。コストパフォーマンスを重視した汎用品で、現場での実用性を十分に満たします。



まとめ:現場目線での最適解

バーコードリーダー選びで大事なのは、カタログの数字ではなく現場での使いやすさです。高機能や高価格に振り回される必要はありません。

当社がおすすめするバーコードリーダーの条件は次のとおりです。

  • 有線タイプ
  • 価格帯は4,000円程度
  • 読み取り範囲は10〜30cm程度

日本ツクリダスでは現場の方が使う環境やシーンを考えた結果、世の中的に好まれる高性能品よりも、汎用品の方が現場に合っていると考えてご紹介しています。確実性・簡単さ・メンテナンス性を重視した選択で、製造現場での生産性向上を実現します。