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タブレットで生産管理ができる!工場で使ってわかったメリットと活用法。

「生産管理システムを導入したいけれど、工場にパソコンを置く場所やマウスを操作する場所がない」
「ホコリや油煙でパソコンが壊れてしまう……」

そんなお悩みを抱えていませんか?
実は私たちも同じ悩みを抱えていました。2024年まで自社で製造現場を持ち、日々の生産管理に取り組んでいた経験から、タブレットによる生産管理の効果を実感しています。

iPadやAndroid、Windowsなどのタブレットなら省スペースで直感的に操作でき、現場のリアルな課題を解決できるのです。この記事では、パソコンとタブレットの両方を生産管理に活用してきた経験を踏まえて、タブレットが生産管理システムに適している3つの理由と、具体的な活用方法をご紹介します。



タブレットで生産管理を行う6つのメリット

生産管理にタブレットを活用してきた最大の理由は「現場に合う」からです。ここでは、私たちが実際に運用して感じたメリットを6つ紹介します。

メリット1.置き場所が省スペースで済む

タブレットはキーボードが画面内にあり、マウス機能も画面を指でタッチすることで代替できます。そのため必要なのは、ノートのような形の端末1台のみです。

使わない時は、机の端に置いたり、立てかけたり、図面と重ねたりできるので、置き場所も省スペース。必要な時だけ取り出して使えます。

メリット2.持ち運びやすい

生産管理システムの情報を閲覧する必要があるのは誰でしょうか。
作業をする方はもちろんですが、フレキシブルに動き回る方や管理系の担当者による閲覧も多くなるのではないでしょうか。
例えば工場長、購買係、資材係、そして現場の状況が知りたい営業マンなどが挙げられます。
しかし、工場の中でノートパソコンを持ち歩くのは現実的ではありませんよね。そこで活躍するのがタブレットです。軽量・薄型なため、ノートパソコンと比較して、片手で素早く操作できます。

メリット3.設置もできる

一方で、設置して使う事もできます。その時は画像のような「クランプ式アーム」で定盤に空中固定するのがおすすめです。タブレットをアームに設置することで次のようなメリットがあります。

  • 空中に浮かせてホコリや油煙の影響を低減できる
  • 両手フリーで確認・入力ができる
  • 人の目線に近い場所に設置できる
  • 机や作業台が広く使える

思い切って工作機械などの脇に設置するのもいいですね。必要時は携帯、定位置では設置――「持ち運び」と「固定運用」を両立できるのが、タブレット×生産管理の強みです。


メリット4.ホコリや油煙に比較的強い

デスクトップパソコンが壊れる原因の多くは「回転する部品」にあります。デスクトップパソコンは、異物の侵入元になる「冷却ファン」を持つため、ホコリや油煙で故障しやすいのが弱点です。

実際に当社では、工場に設置したデスクトップパソコンを1年以上掃除せずに使い続けると、50%以上の確率で故障が発生しました。そのため、当社は半年に1回デスクトップパソコンの本体を開けてファン周りを掃除していましたが、なかなか面倒で難しい作業です。

一方で、タブレットはファンレス設計です。異物の侵入元となるような穴が少ない作りのため、ホコリや油煙に比較的強い特長があります。

ちなみに、当社はNC旋盤による切削加工を多く行っている工場で、ホコリと油煙が比較的多い環境でした。ミスト除去装置を付けていましたが、半年もたてば換気扇はベトベトに。

そんな環境ですが、当社ではNC旋盤の真横にiPadがアームで設置されていました。週に1回程、掃除の時に軽く拭いてあげる程度の使い方で、壊れる事もなく安定運用を実現していました。

メリット5.振動にも比較的強い

パソコンが通電中、常に回転する「HDD(ハードディスクドライブ)」も故障の原因になります。

このHDDは、振動やホコリに弱い繊細な部品です。最近は回転しない「SSD(ソリッドステートドライブ)」も普及しつつありますが、コスト面からHDDのパソコンを利用している企業も多いでしょう。

このように、回転部品を多く持つパソコンは振動や粉塵に弱い構造ですが、タブレットはそもそもファンやHDDを搭載していません。SSDを前提とした設計のため、工場の振動や環境要因にも比較的強く、安定して稼働できます。

「工場内でパソコンが壊れやすい」と感じている方は特に、導入してみる価値があります。

メリット6.直感的で、パソコンが苦手な人でも使いやすい


タブレットのいいところは、操作がとにかく直感的だということです。

パソコンのように「マウスを動かして、キーボードで入力して…」と構えなくても、画面を指でタッチするだけで完了します。

私の現場でも「パソコンは苦手」というベテラン作業者がいましたが、タブレットならすぐに慣れて使いこなしていました。飲食店の順番待ち端末や予約機械と同じ感覚なので、説明なしでも触ればわかる。だから抵抗感なく導入できるんです。




タブレット×生産管理システムでできること

タブレットを活用すると、単に「パソコンの代わり」ではなく、現場ならではの便利な使い方が広がります。ここでは主な機能と活用シーンを紹介します。

バーコード読み取り

例えば、生産管理システム「エムネットくらうど」では、バーコードを使った管理が基本になっています。

  • 製番(親)→ 品番(子)のツリー構造でバーコード管理
  • 図面にバーコードシールを貼って運用

専用のバーコードリーダー(約4,000円〜)の方が読み取りが早くて確実ですが、タブレットのカメラでもバーコード読み取りは可能です。

チャット機能で写真共有

エムネットくらうどには、案件別チャット機能があります。タブレットのカメラで写真を撮影して、チャットに投稿すれば、図面や加工状況を即時共有できますよね。写真でないと伝わらないことって、製造現場では結構あります。

また、カメラでQRコードを読み取れば、チャットへのアクセスも可能です。



現場で実践!タブレットを使った生産管理システム運用事例

次にタブレットと生産管理システムを使った実際の運用をチェックしてみましょう。ここでは、私たちの現場で行っていた活用例を具体的に紹介します。

1. 工場のリーダーが進捗状況や次の予定などを把握する

工場リーダーが、タブレットを常に持ち歩ける運用にしていました。

基本的にはタブレットを機械のそばの定盤(作業台)にアームを使って設置。必要があれば取り出して、生産管理システムで進捗状況や次の予定を確認できる環境が整いました。

2. 現場の作業終了後、作業登録を行う

またタブレットが設置された定盤では、作業者による工程検査や識別記号の記入作業が実施されていました。

作業が終わると、その場ですぐにタブレットを利用して、作業完了登録ができます。こうして導線を整備することで、作業と登録をセットで行えるため、登録忘れ防止にも有効です。



タブレット導入時の検討ポイント



実際に導入する前には、工場環境やネット環境など、いくつかチェックしておくべき点があります。ここでは主な検討ポイントをまとめました。

環境面の確認事項

まずは環境面での確認事項です。

設置場所の検討

省スペースとはいえ、タブレットを置く場所や充電環境は必要ですよね。アームで設置する場合は、取り付け可能な場所があるかも確認しましょう。

工場環境の評価

ホコリや油煙の程度を確認し、週1回程度の清掃で対応可能かを検討します。極端に過酷な環境でなければ、通常のタブレットで問題ありません。

極端に過酷な環境の場合には、産業向けのタブレットがおススメです。産業向けモデルでは防水、防塵や落下対策まで施されています。

システム要件の確認

次にシステム要件の確認です。

クラウド型の生産管理システムを検討

タブレットを前提とするなら、クラウド型の生産管理システムから選定しましょう。オンプレミス型のシステムでもタブレット利用は不可能ではありませんが、設計次第。最近の生産管理システムはクラウド型が主流で、タブレットとの相性も抜群です。

クラウド型なら、

  • タブレットのブラウザからアクセスするだけで使える
  • アプリのインストールが不要なケースが多い
  • 外出先や自宅からも進捗確認ができる
  • システムの更新やメンテナンスが自動で行われる

こんなメリットもあります。

インターネット環境

クラウド型の生産管理システムを使用する場合は、安定したインターネット接続が必要です。工場内のWi-Fi環境を整備する必要があるかもしれません。

対応デバイスの確認

使用予定の生産管理システムが、以下のどのOSに対応しているか確認しましょう。

  • iPad(iOS)
  • Androidタブレット
  • Windowsタブレット


よくある質問


パソコンと比べてタブレットの耐久性はどうですか?

ファンやハードディスクなど回転部品がないため、振動やホコリに対して強い構造になっています。実際に、オイルミストが発生するNC旋盤の横で問題なく稼働している実績があります。


現場の高齢の作業者でも使えるでしょうか?

タッチ操作は直感的で分かりやすいため、パソコンが苦手な方でも比較的簡単に使えます。画面も見やすく、必要な情報だけをシンプルに表示できます。


メンテナンスは大変ですか?

基本的には、週1回、軽く拭く程度のメンテナンスで十分です。パソコンのようにケースを開けてファンを掃除するような作業は必要ありません。


どんな生産管理システムでもタブレットで使えますか?

システムによって対応状況は異なります。クラウド型でブラウザベースのシステムであれば、多くの場合、タブレットでも利用可能です。導入前に必ず確認しましょう。


現場作業者にとって、紙の指示書とタブレットどちらが使いやすいですか?

現場作業者の方によりますが、操作に慣れると「タブレットにして良かった」とおっしゃる方は少なくありません。

また、生産管理システム「エムネットくらうど」は紙ベースの運用を継続できる設計になっています。図面にバーコードシールを貼るだけで、ペーパーレスを強要せず段階的に移行できます。タブレットは進捗確認や作業登録に使い、図面は紙のまま使うという併用も可能です。


タブレット導入の初期費用はどのくらいですか?

iPadは3〜7万円程度、Androidタブレットなら2〜5万円程度、Windowsタブレットなら5万円程度から導入可能です。アームやケースなどの周辺機器を含めても、パソコン導入より安価に始められます。


運送会社さんでよく使われているようなハンディーターミナルは使えますか?

使えるシステムと使えないシステムがあります。事前に確認しましょう。


バーコードリーダーは必ず必要ですか?

導入するシステムによります。例えば、生産管理システム「エムネットくらうど」は、バーコードを発行することで便利に使える設計です。バーコードリーダーがなくても問題ありませんが、あった方が便利にご利用いただけます。

また、端末にバーコードリーダーを搭載しているモデルも存在しますので一体モデルを検討するのもおススメです。



まとめ



工場のスペースや環境に悩んでいるなら、タブレットを使った生産管理は有力な解決策です。

省スペース・耐久性・操作性に優れ、クラウド型システムとの相性も抜群。現場でのリアルタイムな情報共有や進捗管理をスムーズに実現できます。

「パソコンだと場所がない」「環境的に壊れやすい」「操作が難しい」

そんな課題を抱えている工場こそ、タブレット導入の効果を実感できるはずです。

自社に最適な生産管理システムを検討する際は、ぜひタブレット活用という視点も取り入れてみてください。現場の負担を減らし、管理の精度を高める第一歩になります。

エムネットくらうどはクラウド型の生産管理システムで、iPad・Androidタブレット・Windowsタブレットに対応しています。推奨はWindowsタブレットですが、ブラウザでアクセスするだけで使えて、タブレットでの操作性を重視した画面設計になっています。

当社が製造業を営んできた中で、現場での使いやすさを追求したシステムです。詳しい活用方法や導入事例については、お気軽にお問い合わせください。