導入事例
株式会社 笠殿製作所様 「数字で話せるようになり社内は活性化、新規取引も増えました!」
事例のポイント
- 紙やFAX中心の受発注管理から脱却し、クラウド化を実現
- 現場主体でシステムを“使いながら育てる”文化を定着
- 工程・納期・原価・利益の見える化により判断スピードが向上
- データを根拠にした交渉が可能になり、大手企業との取引が拡大
- システム導入を機に人が増え、現場と事務が連携しやすい組織へ
- 感覚ではなく数字をもとに共通認識で話しができ、努力や結果を可視化
株式会社笠殿製作所は1968年に京都市南区で設立した、精密機械加工を中心に事業を展開する機械加工業の会社です。
医療機器や真空装置、粉体機器などの分野で培った高い加工技術を活かし、旋盤加工やフライス加工、マシニング加工のほか、組立や電気配線、塗装、熱処理まで製造の全工程を一貫して手掛けています。
会社のモットーは「最高品質のモノづくりを魅力的なコストで提供する」こと。0.01ミリ単位の高精度加工を得意とし、少量多品種の生産にも柔軟に対応できる体制を備えています。
笠殿製作所で業務全体を統括する田中さんに、エムネットくらうど導入の背景と導入後の変化についてお話を伺いました。
紙とFAXでの管理に感じていた限界
ー エムネットくらうどの導入前はどんな課題があったのでしょうか?
当時は日々の業務が慌ただしく回ってはいましたが、どこかで「非効率だな」と感じる部分が常にありました。
受発注は紙の注文書、やり取りはFAX、確認は電話。図面はファイルに挟んで机の上に山積みで、それが当たり前になっていたんです。
誰かが外出していたり、別の現場に行っていたりするとすぐに確認できず、同じ問い合わせを何度も繰り返したり、伝達ミスが起きたりすることもありました。
「これでいいのか?」という疑問はありながらも、慣れで続けていたのが正直なところです。
忙しいのに利益が思うように出ていない。一つひとつは小さなロスでも、積み重ねれば大きな差になります。
その原因が、情報が分断されていて全体を把握できないことだと分かってはいたのですが、どう変えるかの手立てが見つからず、もどかしさを感じていました。
「同じような考え方で仕事をしている会社が使っているものを選びたい」
ー エムネットくらうどをどのように探されましたか?
システムを探し始めたときは、「自分たちと同じ規模や考え方の会社が使っているものを選びたい」と思っていました。
“中小企業 生産管理”というキーワードで検索し、いくつかのソフトを見比べていた中で、目に留まったのがエムネットくらうどでした。
資料を読むうちに、現場の感覚に寄り添った設計と、無理なく導入できそうなイメージが湧きました。
「こういう仕組みなら、うちの規模でもちゃんと活かせる」と思えた瞬間に、迷いはなくなりました。
「情報を共有できる仕組みをつくりたい」
ー導入前に社内で検討したり話し合ったことはありますか?
もともと「現場の情報をみんなで共有できるようにしたい」という思いがありました。
担当者の頭の中にある情報やノウハウを、社内全体で見えるようにして、誰が見ても分かる状態にしたかったんです。
導入を考えた当初、社長は「本当にうまくいくのか」と少し慎重でした。長年アナログなやり方で会社を支えてきた立場からすれば、すぐに実感できなかったのも当然だと思います。
それでも私は、現場の努力が数字として見えず、若い人が入っても仕事の流れがつかみにくいことに課題を感じていました。
「次の世代でも続けられる形をつくりたい」と伝えると、社長は「そこまで考えているならやってみたらいい」と背中を押してくれました。
導入後は「こうやって見えるのか」「これなら分かりやすいな」と納得してもらえ、今ではどこに何があるか一目で分かるようになりました。
「導入して終わり」ではなく、「育てていく」
ー 導入後はどのように活用を進めていったのでしょうか?
導入してしばらくは、正直まだ手探りの状態でした。「この項目は必要?」「どこまで入力すればいい?」と迷うことも多く、最初は便利さよりも手間のほうが目立っていたと思います。
それでも使い続けるうちに、「こうすればもっと分かりやすい」「この流れなら現場が動きやすい」といった声が少しずつ上がるようになり、入力方法や共有の仕方を見直しながら運用を整えていきました。
PDFを添付できる機能を使って図面や資料をシステム上で共有するようになり、紙を探す手間がなくなって、現場とのやり取りがぐっとスムーズになりました。
導入して終わりではなく、現場で使いながら運用を育てていく——その積み重ねが社内に定着し、エムネットくらうどは自然と「自分たちの仕事の流れ」に馴染んでいきました。
情報が見えるようになって変わったスピード感
ー 導入して最も大きな変化は何でしたか?
一番の変化は、仕事の進捗をすぐに把握できるようになったことです。以前はお客様から問い合わせがあると、担当者に電話して確認して折り返す——それが当たり前でした。今ではパソコンやタブレットを開けば状況がすぐに分かり、「今ここまで進んでいます」「この日には完成します」と即答できるようになりました。
やり取りのスピードも信頼も大きく向上し、工程全体を見渡せることで、次の段取りや優先順位の判断も早くなりました。
結果的に無駄な動きが減り、現場のストレスも少なくなったと思います。
データが「見える」ことで、判断が早くなった
ー 管理や経営の面でも変化がありましたか?
数字をもとに判断できるようになったのは本当に大きな変化です。以前は「この仕事は頑張った」「大変だった」という感覚で動くことが多かったのですが、データを見ると意外なことが見えてきます。
「この案件は時間がかかっている」「この工程でコストが膨らんでいる」など、原因を具体的に把握できるようになり、そこから改善の話が自然に出るようになりました。感覚で決めていたことを数値で確かめるようになってから、経営判断も早くなり、迷いも減りました。社員も納得感を持って動けるようになり、前向きな意見が増えています。
データが信頼を生む
ー 外部との関係にも変化はありましたか?
大きな変化がありました。以前は「感覚」で説明していたことを、今は「数値」で示せるようになったんです。「この工程にこれだけの時間がかかっています」「ここまで原価が発生しています」と根拠をもって伝えることで、交渉や説明の説得力が増し、相手に納得してもらえる場面が確実に増えました。
特に大手メーカーとの取引では、「ここまで管理できているのか」と評価されることもあり、「しっかりしている」「安心して任せられる」と言っていただけるようになりました。データをもとに話ができるようになったことで、信頼関係がより強くなったと感じています。
社員の意識が変わった
ー 社内の意識にも変化はありましたか?
数値が見えるようになって、働くみんなの意識も変わりました。以前は「なんとなく頑張る」という雰囲気だったのが、今では「どうしたらもっと良くなるか」を数字を見ながら考えられるようになりました。
努力や結果が見えることで「ここを改善したらこう変わる」という実感が持てるため話し合いの内容も具体的になりました。新しい人が入っても仕事の流れが分かりやすくなり、若い世代の定着率も上がっています。事務スタッフも増えましたが、みんなが同じ画面を見ながら動けるので混乱がなく、共通の基準で判断できるようになりました。チーム全体の一体感がより強まったと感じています。
現場から始まる“経営の見える化”
ー 今後の展望について教えてください。
導入して終わりではなく、協力会社とのデータ共有などこれからも改善を続けていきます。
製造業はいまやスピード勝負の時代で、短納期・多品種対応が当たり前になっています。だからこそ、どれだけ早く正確に、そして無駄なく進められるかが鍵になると感じています。
そのために大切なのが「見える化」です。今の状態をきちんと把握し、数字と状況を共有できる環境を整えることで、変化に強く、柔軟に対応できる現場をつくっていきたいと思っています。どんな変化にも対応できる現場をつくるために、“今”を見えるようにしておくこと——それがこれからのものづくりの基盤になると考えています。
まとめ:社内が活性化し、新規取引が増えて会社がより発展的に
エムネットくらうどを導入して変わったのは、単に業務の効率だけではありません。
「管理が見える」「数字が語る」「誰でも分かる」という環境ができたことで、お客様との信頼関係が深まり、新しい取引のチャンスが広がりました。
そして何より、社員一人ひとりが自分の仕事に誇りを持てるようになったこと。
それがこの取り組みの一番の成果だと感じています。