システムの特徴
事例3 属人業務を見える化し、分担へ──製造業の売上112%を実現した小さな現場改革

導入目的:
A社では、営業から納品までの案件管理を一人の営業マンが担っていました。その結果、業務が属人化。業務の引き継ぎや分業が困難となっていました。
そこで、エムネットくらうどを導入し、業務の見える化を実現。属人業務を標準化・共有可能な形に整え、効率的な分業体制を構築することを目指しました。
マネジメント上の課題
製造業において、営業マンが全てのプロセスを一手に担う体制は、一見すると顧客対応に一貫性があるように見えます。しかし、この体制には以下4つのマネジメント上の課題が潜んでいました。
1.営業マンの業務負荷が可視化できない
- どの業務にどれだけの時間を費やしているかわからない
- 本来の営業活動にどれだけ時間を割けているか把握できない
- リソースの最適配分が困難で、業務負荷に偏ってしまう
2.タスクの優先順位が個人の判断に依存
- タスクの緊急度と重要度の判断基準が属人的になる
- 個人の裁量によって、重要案件が後回しになってしまう
- 緊急案件ばかりが先行し、全体が滞る
3.業務の標準化・効率化が進まない
- 他の従業員が介入しづらい
- 独自の手順で業務が遂行され、効率化できない
4.KPIが設定できない(データがない)
- 改善すべきポイントが特定できない
- PDCAサイクルが回せない
- 課題が放置されてしまう
5.業務内容とノウハウが共有されない
- 仕事の引き継ぎができない
- 技術の継承ができない
- 最悪の場合、隠蔽などが起こるケースも
Before:非効率な業務フロー
1人の営業マンが同時並行で処理していた業務
当時の営業マンは、見積もり依頼から作成、外注先との調整、材料の発注、納期管理、引取、検査、梱包、出荷、配送までの全工程を、ひとりで同時並行的に対応していました。
この最大の問題点は、ボトルネックが見えないことです。営業マンに「忙しい」という感覚はあっても、何をどう改善すべきかが分からず、属人化が慢性化していました。
また、営業マンが不在や休暇の際には、案件の進捗が完全に止まってしまうリスクも抱えていました。このような状況下では、顧客からの問い合わせに対して、「担当者が不在のため分かりません」という回答をせざるを得ません。
After:データに基づく最適な分業体制
エムネットくらうどで実現した業務フロー
エムネットくらうどを導入し、業務プロセスの見える化と標準化を促進。全ての案件情報がシステム上でリアルタイムに共有されるようになり、誰でも状況を把握できる体制が整いました。
さらに、次の3つのプロセスに業務を分類し、それぞれに最適な担当者を配置する体制を実現できたことで、組織全体のパフォーマンスも改善されました。
- 営業:営業、見積もり、受注
- 管理:受注管理、納期管理、外注管理
- 実行:検品、検査、梱包、出荷
1. 営業プロセス
営業担当は、見積〜受注までの業務に集中できるようになり、顧客との関係構築や新規提案に専念できるようになりました。受注後はすぐにシステムに案件情報を登録するため、他メンバーとの情報共有もスムーズに。

2. 管理プロセス
業務担当は、案件状況を色分け表示された画面で視覚的に把握できます。
赤=遅延、青=当日納期、オレンジ=1日前、黄=3日前、白=余裕あり

営業マンから受注した案件ごとの納期や現場の現状が、誰でも一目瞭然で優先順位が一目瞭然です。
工程ごとの納期も同様に管理できるため、遅延リスクの早期発見と迅速な対応が可能に。
外注先を含む複数工程も同時進行で無理なく管理できるようになりました。

3. 実行プロセス
現場担当者は、検査や検品のチェックリストをデジタル化し、作業の品質を標準化。

梱包や出荷ではバーコードを活用し、誤出荷ゼロを実現。

分業に加えて、各担当者が自分の業務に集中できる環境が整ったことで、品質向上と業務の安定化が進みました。
導入効果(6ヶ月検証データ)
エムネットくらうど導入から6ヶ月間の効果を検証した結果、以下の成果を確認できました。
売上平均112%達成
- 営業マンが本来の営業活動に集中できるようになり、新規受注が増加
- 売上平均112%を達成
作業効率の向上により、無駄な時間が削減
- 売上がアップしたにもかかわらず、定時退社が増え、経費削減を実現
- 各案件の情報や進捗、外注管理などをデジタル化し、書類を探す手間や時間を大幅に短縮
- 情報の転記といった重複作業が削減され、正確かつ効率的な運用が実現
見える化により指示待ち状態が解消
- 各担当者が状況を把握し、自律的に判断・行動できる体制を実現
- チーム全体の生産性が向上
- リードタイムが短縮し、納期よりも早く製品が完成するケースが増加
プロジェクトマネージャーの声
「データで業務が見える化されたことで、改善すべきポイントが明確になりました。特に、案件ごとの進捗が可視化され、ボトルネックとなっている工程を特定できるようになったのは大きな成果です。
以前は『なんとなく忙しい』『効率が悪い気がする』という感覚的な判断しかできませんでしたが、今では具体的な数値に基づいて改善施策を立案・実行できています。
また、情報がオープンになったことで、チーム内のコミュニケーションも活発になりました。お互いの業務状況が見えるため、自然と協力し合う文化が生まれています。」
成功のポイント
この事例から学べる、分業体制構築の成功ポイントは以下の3つです。
1. データに基づく現状分析
まず現在の業務フローを可視化し、どこにボトルネックがあるのかを明確にすることが重要です。感覚ではなく、データに基づいた分析によりDX(デジタルトランスフォーメーション)を実行します。
2. 段階的な移行
一度に全ての業務を分業化するのではなく、まずは情報共有から始め、徐々に役割分担を明確化していく段階的アプローチが効果的です。
3. システムによる情報共有基盤
製造業の分業化を成功させるには、全員がアクセスできる共通基盤が不可欠です。情報が部署や担当者ごとに分断されないよう、誰もがリアルタイムで情報にアクセスできる環境を整えましょう。生産管理システム「エムネットくらうど」は、この基盤として機能します。
まとめ
属人的な業務体制から、分業体制への転換は、中小製造業の生産性向上において極めて重要な取り組みです。「あの人でなければわからない」という状況下で、図面を探したり、進捗を聞きに行ったりするのは、実はとても非効率です。
エムネットくらうどであれば、誰でもいつでも調べることができて、誰でも知っている状態が実現します。属人化の解消にはもってこいのシステムです。
6ヶ月で売上112%を達成したこの事例は、効果的なシステム導入と組織変革により、成果を生み出した一例といえます。
導入企業情報
- 業種:製造業
- 従業員数:約10名
- 導入時期:2023年
- 主な製造品目:多品種小ロット製品
お問い合わせ
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